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化学の面白さ発見!中学生で学ぶ化学反応式

中学生の理科で得意・不得意がはっきりとわかれてしまう単元の1つに「化学反応式」があります。原子・分子など目に見えないものなのでイメージがしづらく、さらに覚えることもたくさんあって、その上計算式のようなものまであるなんて、理数系の科目が苦手な人にはたまったものではありませんね。

ただ、実力テストや受験問題に必ずといっていいほど出される単元なので、できないままにしておくわけにもいかないわけで、なんとか克服しようということで今回話題として取り上げました。

化学の世界で起こる反応を表すための式、それが化学反応式です。これを理解することで、物質がどのように変化するのかを理解し、化学の面白さを発見することができていくようになります。

1. そもそも化学反応式っていったい何?

化学反応式は、化学反応が起こるときに参加する物質と生成される物質を表したものです。化学反応式は以下のような形式で表されるのが通常です。

反応物質 → 生成物質

左側には反応に参加する物質(反応物質)があり、右側には反応によって生じる新しい物質(生成物質)が書かれます。
ちょっと難しくてわかりづらいかもしれませんね。
ではまず、「化学式」と「化学反応式」の違いから見てみましょう。

「化学式」は、物質の成り立ちを原子の記号と数で表したものです。物質そのものの性質を表しています。
一方、「化学反応式」は物質の化学変化、すなわち「化学反応」を表現するものです。

化学の分野では、さまざまな物質がいろいろな反応を経て違う物質へ変化していくということを多く扱いますが、これを「化学反応」といいます。
この化学反応を「化学式」を使って表しているのが「化学反応式」というわけです。

2. 化学反応式はどうやって作る?簡単4ステップ

化学反応式がどういうものかはこれでわかりました。
では実際にどのようにして式を作ったらいいのでしょうか。

ある日、中学2年生から「学校の宿題でわからない問題があります」と質問されました。
「『酸化銀の分解』について化学反応式で表しなさい」という問題でした。
式を書くと、

2Ag2O → 4Ag + O2

となりますが、これを見て「意味がわかりません…」と困っていました。

確かに原子や分子について習ったばかりの生徒にとって、いきなり化学反応式を暗記しようというのはやっかいかもしれません。

式をいきなり覚えるのではなく、きちんとした手順がありますのでちょっとその手順を追ってみましょう。

①化学式を覚える!

化学反応式を作るために、まずは化学式を暗記します。やはり暗記から始まりますね。
水素(H2)、酸素(O2)、鉄(Fe)、銅(Cu)など単体(1種類の元素からなる物質)はもちろん、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、酸化銅(CuO)、塩化ナトリウム(NaCl)など化合物(2種類以上の元素からなる物質)もしっかり覚えておきます。

②物質名の式を覚える!

次は反応の前後を物質名で覚えます。

例えば、
水 → 水素 + 酸素
銅 + 酸素 → 酸化銅
といった感じです。上の例で出した「酸化銀の分解」もまずは、
酸化銀 → 銀 + 酸素
というふうに物質名で式が書けるようにしましょう。

③物質名を化学式に変える!

物質名での式が作れるようになったら次はその作成した式の物質名を①で覚えた化学式に変えましょう。

例えば、

水 → 水素 + 酸素
これを、
H2O → H2 + O2

銅 + 酸素 → 酸化銅
これを、
Cu + O2 → CuO

に変えるといった感じです。

生徒の質問の問題だと、
酸化銀 → 銀 + 酸素
これは、
Ag2O → Ag + O2

となりますね。

④反応前後の原子の数をあわせる!

ここまでの式が書けるようになったら最後は反応前後での原子の数あわせです。
例えば水の分解は、

水 → 水素 + 酸素
H2O → H2 + O2

でしたね。ただこれでは反応前はH2とO、反応後はH2とO2で、酸素原子(O)の数がそろっていません。そこで左の式にOを1つ追加するために水分子H2Oの化学式全体を2倍します。
(※注意!酸素の数を増やしたいからといってH2O2としては絶対にダメです!『化学式は変えられない』ということを覚えておきましょう。)
すると
2H2O → H2 + O2
となりました。これで酸素原子の数はそろいましたが、今度は水素原子(H)の数がずれてしまいました。最後に水素原子の数をそろえます。左の式のほうは、Hが4つになったため、右の式でも4つにするため、水素分子H2を2H2とします。(ここでも化学式は変えられないのでH4としないように)
すると
2H2O → 2H2 + O2
となり、これで完成です。

3. 覚えておきたい化学反応式

中学生が覚えておくべき化学反応式をご紹介します。⑥は高校生範囲の化学反応式です。難しそうな式ですが、基本的には同じ4ステップで式が完成できます。

※①~⑥の式の、一つ目は物質を化学式で表したもの、二つ目は原子の数をそろえたものです。

①水の生成(水の分解)

水素 + 酸素 → 水 (水 → 水素 + 酸素)
H2 + O2 → H2O
2H2 + O2 → 2H2O (2H2O → 2H2 + O2

②酸化銀の分解

酸化銀 → 銀 + 酸素
Ag2O → Ag + O2
2Ag2O → 4Ag + O2

③銅の酸化

銅 + 酸素 → 酸化銅
Cu + O2 → CuO
2Cu + O2 → 2CuO

④マグネシウムの酸化

マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
Mg + O2 → MgO
2Mg + O2 → 2MgO

⑤炭酸水素ナトリウムの分解

炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水
NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O

⑥(応用) エタンの燃焼

エタン + 酸素 → 二酸化炭素 + 水
C2H6 + O2 → CO2 + H2O
2C2H6 + 7O2 → 4CO2 + 6H2O

4. まとめ

以上が化学反応式を作るときの4ステップです。

化学反応式は、化学反応の参加物質と生成物質を表す式です。反応式を書くには、反応物質と生成物質の化学式を正しく記述し、原子の数が一致するようにバランスを整える必要があるということですね。

化学反応式は化学の面白さを理解するための重要なステップです。これをきっかけに、もっと深い化学の世界を探求してほしいですね。

最後にもう一度まとめます。

<化学反応式の作り方の4ステップ>

ステップ①:化学式を覚える!
ステップ②:物質名で式を覚える!
ステップ③:物質名で表した部分を化学式に変える!
ステップ④:反応前後の式の原子の数を合わせる!

化学反応式の単元で困っている中学生はこれで練習してくださいね!