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筑修コラム

第4回 教育の変動と子どもたち


前回、学習指導要領について取り上げましたが、この学習指導要領は「学校のルール」・「授業のルール」であり、生徒自身の学びを重視した「経験主義」と生徒への知識の伝授を重視した「系統主義」との間を「行きつ戻りつ」してきた、ということでした。
このような教育の変動には必ず社会そのものの変動があります。そして、よく学校でもマスメディアでも言われるように、子どもたちも変わっているかもしれません。今回は、こうした教育の変動と子どもたちとの関係について取り上げようと思います。

教育の転換と豊かな生活

日本の教育が大きな転換点を迎えたのは、1950年代後半の「スプートニクショック」でした。当時冷戦下にある中で、ソ連の科学力に西側諸国が危機意識を持ったことにより、「詰め込み教育」が始まったのでした。これを踏まえた学習指導要領が1971年に打ち出され、1978年度の共通一次試験開始も相まって、「受験戦争」が深刻化します。

当時は国際的にも国内的にも日本は高度経済成長の真っ最中でした。当時の親世代が「戦争を経験した世代」とするならば、子ども世代は日本が豊かになっていく中で「戦争を経験していない世代」。「なんでこんなに贅沢しているのに勉強しないんだ」・「勉強できること自体ありがたいと思わないのか」と言われていたのかもしれません。

しかし、子どもにとっては、「昔と違って受験しないといけないんだ」・「みんな(全中学校卒業者の8割以上)高校に行って勉強を頑張る時代なんだよ」と言いたかったのかもしれません。ここでの子ども世代は「団塊の世代」とされる人々です。

高度経済成長が終わると……

しかし、こうした高度経済成長も、1973年のオイルショックを期に、日本の高度経済成長は終わります。それに伴って、これまでの社会の在り方や「常識」とされてきたことも変化を余儀なくされていきます。教育カリキュラムの上では、1980年の「ゆとりと充実」、1992年の「新学力観」による個性を生かす教育など、「詰め込み教育」からの脱却と個性重視の方向が打ち出されてきます。
また、科学技術もさらに進歩し、カラーテレビやレンタルビデオ、コンピュータゲームなどの娯楽も増えていきます。「核家族化」も進み、家族が小規模になったかわりに距離感が近くなった時期かもしれません。

当時の親世代は「団塊の世代」の辺りにあたります。子ども世代は、「団塊ジュニア」とも言いますが、一家に一台電話機がある、コンピュータゲームに熱中する、テレビに夢中になる、など、親世代にとって子どもの娯楽は理解しがたいものだったのかもしれません。
しかし、いじめが社会問題になる時代にようやくなったこともあり、子どもたちは、距離が近くなった家族・仲良くしなければならない学校(そして話についていくための娯楽)・自分の進路実現のための勉強と、親世代の感覚では想像のつかない苦労をしょい込むことになったことと思います。こうした時代の雰囲気になんとなく共感できる方も多いのではないでしょうか。

社会の進歩についていくのが精いっぱい

冷戦の終結・バブル崩壊など、1990年代からの国内外の様子はものすごく変化しました。何よりも、インターネットというメディアの普及は、親が関知しないところで子どもが他者とかかわりや交流をもちうる状況をもたらしました。そんな中、「就職氷河期」や「格差社会」など、「勉強をすることで幸せな未来がやってくる」とは限らない事例も社会問題となったのは記憶に新しいと思います。現代もこうした時代の延長だと思いますが、大人も子どもも「何を信じればよいのかよくわからない」・「どうすれば明るい未来になるのか正解がわからない」時代だと思います。

そんな中、2011年より始まったのが「ゆとりでも詰め込みでもなく、知識、道徳、体力バランスがとれた、「生きる力」の育成を実現」するのが「脱ゆとり教育」であり、2010年代の教育改革です。学校現場では、「ゆとりと充実」・「新学力観」の教育を受けた先生方を主軸として「脱ゆとり教育」を模索する苦労にあると思います。

また、そうした試行錯誤段階の教育により、ますます「何をすればよいのかわからない」中で、学校で授業を受け、友達付き合いに関してはスマートフォンやゲーム機、パソコンの普及により、ソーシャルネットワークメディアや「目に見えない」友達関係への気遣い、友人間の流行についていくこと、場合によっては習い事やサークル活動など、考えるべきことは多岐にわたります。いろいろな方向に気を使いすぎて正直「疲れた」。それが今の子どもたちの正直な気持ちかもしれません。

何を優先すべきか??

以上のような状況の中で、子どもたちは「言語活動の充実」や「体験型の授業」、「アクティブラーニング」、「ICT機器の活用」など「新しい学び」を求められています。また、学校の先生も、「新しい学び」を経験していないだけにそちらに注力し、かえって「読み」・「書き」・「そろばん」のような基礎的な学力の定着がおろそかになっているのではないでしょうか。そして、社会や教育の変化や議論が多種多様になるにつれて、先生や親御さん自身まで「どうしたらいいかわからない」状況になっている状況は否めません。

実際、「定期テストで点数が取れない」と悩んでいる生徒で最近特徴的なのは、「漢字を読めるけど書けない」・「英語を話せるけどつづれない」子どもたちです。また、将来の選択肢があまりにも広がりすぎて、「どうしたらいいかわからない」子どももよく見ます。
このような状況の中で、どのように優先順位をつけたらよいでしょうか。

そう考えると、やはり「読み」・「書き」に代表されるような基本的な学習や身についたことを承認・賞賛されることが非常に重要になると思います。
確かに今の「新しい学び」は重要です。対人折衝能力や主体性など、今後の社会を生きていく中で必要なスキルが身につくことは間違いないでしょう。しかし、せっかくの能力も、仕事をするうえで必要な知識量・経験、そして自尊感情の確立がないと活きてきません。

「どうしたらいいかわからない」ならば、まずは「読み」・「書き」などの基本的な学習を通じて、「自分はこれならできる」を一つずつ着実に増やしていくことが大切なのではないでしょうか。

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