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筑修コラム

第8回 アクティブラーニングで学校が変わる!


 小学校と中学校の学習内容を定める「学習指導要領」の改訂作業が進んでいます。新しい「学習指導要領」での学習は小学校では2018年から徐々に取り入れられ2020年から完全実施、中学校では2021年から完全実施となります。今回はとても大きな変更になるという評判です。

1. もう始まっている教育の変化

 今後学校教育が大きく変わるという話はマスコミをはじめいろいろなところで耳にされていると思います。具体的な変化では、例えば大学入試でセンター試験が2020年までで廃止され、新しい選抜方法「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が2021年から始まります。この4月から中学3年生になった子どもたちはこの試験の最初の受験者になります。

 また小学校の英語教育では、2020年までに「外国語活動」が小学3年生まで前倒しされ、小学5・6年生では「教科」になります。検定教科書が用意され、テストも行われて通知表に成績が記されるようになるのです。

 さらに10年後、20年後には小学校・中学校・高校・大学などすべての学校でこれまでと違った教育のあり方が見られるようになるかもしれません。今回の改訂は「明治以来の150年の大改革」と表現されるほどの大きな改革と言われています。

 こうした「教育改革」の動きの中で、特に注目されているのが「アクティブラーニング」です。実は中学や高校の先生方はこの「アクティブラーニング」にどう取り組もうかと頭を痛めている方も多いとのことのです。

2. アクティブラーニングとは?

 アクティブラーニング(Active Learning)は直訳すると「積極的・能動的な学び」となるのですが、文部科学省ではこれを「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」という意味で使っています。これからの学校での学びは、「育成すべき資質・能力」を育むために、学びの量とともに質や深まりが重要で、そのためにはどのように学ばせるかが重要だと言うのです。そして、それにはアクティブラーニングが必要だというわけです。

 アクティブラーニングについては、グループ学習や体験学習のことだというイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、文科省が目指しているのはどうもそういうことではないようなのです。確かに学校の授業といえば生徒が黒板に向かって座り、先生が黒板に書きながら一方的に説明していて、生徒はそれを聞きながらノートに写しているようなイメージですよね。生徒は一貫して受け身の立場で学習しています。知識の伝達ということであれば、そういう形は当然かもしれません。

 生徒が立ち上がってみんなの前で説明したり、グループで話し合ったりする授業がアクティブラーニングのひとつの場面だとも言われています。しかしアクティブラーニングはそのような学習の方法を指すのではないということを多くの識者が指摘しています。大事なのは生徒自身が能動的(アクティブ)に学ぼうとする姿勢を作り出すことなのだと。



 アクティブラーニングとは一体どのようなもので、そもそもなぜ今回アクティブラーニングが持ち出されたのかについて考えてみましょう。

3. 社会変化の中を生き抜くためには

 アクティブラーニングが注目されるようになったのは、2012年の中教審(中央教育審議会)の答申あたりからです。このときは大学の内容に関する話だったのですが、従来型の「知識の伝達・注入を中心とした授業から、(中略)学生が主体的に問題を発見し、解を見出していく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である」という文脈でした。

 中教審とは文部科学省に置かれている審議会のうち最も重要な事項を取り扱う審議会で、幼稚園から大学までのこれからの学習のあり方について、その方針を打ち出している部署です。現在は教育改革を目指す議論を継続しており、その内容が次期学校指導要領に反映される見通しです。中教審が2015年5月にまとめた「第七次提言」の中で、アクティブラーニングがなぜ必要なのかについて、考えを述べています。

 それは次のような内容です。
コンピューターやインターネットなどITの技術や性能が飛躍的に進歩することで、近い将来には人間が担っている様々な仕事が機械に置き換わっていくことが考えられます。人工知能の開発によって頭脳労働さえもが機械の仕事になる時代がやってくるかもしれません。さらに2045年にはコンピューターの能力が人間の能力を上回る転換点、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)が訪れるとも言われています。

 そんな社会では、車や電車や飛行機の操縦でさえも機械に任されているでしょうし、スーパーマーケットにもお客以外の人間はいなくなるかもしれません。いや、スーパーもなくなってすべてが宅配で届くようになるかもしれません。宅配は人間ではなくドローンやカートが自動で届けてくれるのかもしれません。そんなふうに今人間が行っている仕事がどんどん機械が行う仕事へと変わっていくことが考えられます。

 つまり社会は想像を上回るような速さと内容で変化するだろうと国のトップでは考えているのです。こうした状況の中では「人間が優位性を持つ資質・能力を磨き高めること」、つまり機械にはできないことを人間が専門的に行うことを考え、その能力を鍛えていかなければならないということになります。
それは、
・あらかじめ正解のない問いや自ら設定した課題に挑戦していく活動
・創造性や高い専門性を発揮して行う活動
・人間の感性や思いやりが求められる活動   などです。

 そういう活動を行うために必要な資質・能力として
1)主体的に課題を発見し、解決に導く力・志、リーダーシップ
2)創造性、チャレンジ精神、忍耐力、自己肯定感
3)感性、思いやり、コミュニケーション能力、多様性を受容する力
が挙げられています。

 子どもたちがこのような資質・能力を養うためには、現在のままの学習方法ではダメだということなのです。「なぜ、そうなるのか」という疑問を持つことから始まり、使える知識・さまざまな手段などを組み合わせ、工夫しながら、失敗を恐れずに試しては失敗から原因を考えてまた違う方法を試してみるような「体験型・課題解決型の学習」が必要だとその提言では述べているのです。

 それが「課題解決に向けた主体的・協働的で、能動的な学び」で、そういうものを「アクティブラーニング」と呼びたいというのが中教審の出している内容なのです。

4. アクティブラーニングが目指すもの

 このように、学校でアクティブラーニングを推進することは、単に学習効率を高めたり、教室を活性化するための指導手法の変更というレベルのものではないようです。従来型の指導を継続していてはこれからの社会を生き延びることが困難になる、日本が危うくなってしまうというような観点から、これまでとは違う資質・能力を育てるために根本から学習のあり方を変更することが目的となっているのです。

 2020年から実施される次期指導要領では、求められている資質・能力をもう少し噛み砕いて、以下のように取り上げています。
1)何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)
2)知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)
3)どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)

 つまり「何を知っているか」だけでなく、「知っていること」をどう使って、どのように社会と関わり、よりよい人生を送るかということです。子どもたちに考える力、表現する力、人と関わる力を身に着けさせなければならないということです。

 それを可能にするためには、教室内で知識を授かるだけの受け身の授業でだけではダメで、子どもたちが自ら考え工夫し、協力しながら、試行錯誤を繰り返すような空間の中で、能動的・積極的に取り組む学習でなければならないということです。それを可能にするのがアクティブラーニングの取り組みです。

 これからの学校では具体的なシーンとして、意見発表(プレゼンテーション)、討論・話し合い(ディベート、ディスカッション、ネゴシエーション)、課題学習、事例研修、ボランティア、インターンシップ、体験活動などがさらに多く導入されることになると思います。



 中教審の「第七次提言」の冒頭に「教育改革は、少なくとも20年以上先を見据えて取り組まなければなりませんが、(中略)親世代は自分が受けた20年以上前の教育を基準にして考えますので、そこに40年以上のギャップがあるという指摘もあります。」と書かれています。社会の変化は加速度的に進んでいます。自分たちが受けた教育と子どもたちが受ける教育は違って当たり前。同じ方がむしろ不自然なのでしょう。子どもたちがこれからの大きな変化の中を生き抜いていくためには、今後学校の学習の姿は大きく変わらなければなりません。新しい学習のあり方を作り出すのがアクティブラーニングなのです。

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