MENU

時間が選べる・成績が上がる 学習塾

福岡の学習塾 筑紫修学館TOPページ >  筑修コラム > 変動する教育とその対策 > 第3回 学習指導要領改訂と高大接続改革

筑修コラム

第3回 学習指導要領改訂と高大接続改革


 学習指導要領とは、文部科学省が学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準のことです。つまり、小学校・中学校・高校など様々な学校における「授業のルール」や「教え方のルール」ですね。前々回の「クリティカルシンキング」、そしてそれを引き出すための前回の「コーチング」に加えて、今回は子どもたちの教育をとりまく環境について取り上げようと思います。つまり、学習指導要領がどのような背景で変わっていき今どのような問題が取り上げられているのか、そして、昔も今も変わらずに目指されている学習とは何かについて取り上げていこうと思います。

様々に変わってきた学習指導要領

 学習指導要領は、およそ10年ごとに改定されてきましたが、その歴史を見てみると、「経験主義」と呼ばれる教え方と「系統主義」と呼ばれる教え方との間で移り変わってきました。このうち、経験主義とは、「児童・生徒の発想を生かしながら、課題に対して体験的な学習を展開して、必要な事項を身に付けさせようとする考え方」(生徒自身の学び重視)です。そして、系統主義とは、「学校で教える教育内容は、科学や学問の成果であるべきだとし、それらを段階を追って系統的に指導するという考え方」(知識の伝達重視)です。

 戦後、アメリカの教育制度や教育内容に大きな影響を受けた日本の教育は、当初は経験主義的でしたが、1950年代後半の「スプートニクショック」をきっかけに理数教育重視の系統主義の流れへと転換しました。しかし、「詰め込み教育」と言われる知識量偏重型教育が「なぜそうなるのか」といった疑問や創造力を欠いていた点が問題視され、1980年代からは、思考力を鍛える学習など経験重視型の教育方針へと転換し、学習時間と内容を減らしてゆとりある学校を目指す「ゆとり」教育の時代へと進みます。

 しかし、ゆとり教育の結果、「学力低下」が特に2000年代に問題にされるようになりました。そこで、「脱ゆとり」を掲げて行われたのが、2011年から2013年に至るまでの学習指導要領の改訂です。「ゆとりでも詰め込みでもない生きる力を育む教育」が目指されることとなりました。
 このように、経験主義(=アメリカ型の教育・「ゆとり教育」)と系統主義(=「詰め込み教育」)の間を交互に行きかいながら、その両方をあわせ持つ教育へと行き着いたわけです。

今度こそは、と本腰を入れた「高大接続改革」

 ただ、このような経験主義と系統主義とを行きかう移り変わりから、「何とかならないものか」と考えた人はいたようです。この経験主義と系統主義をあわせ持つ改革は2003年の学習指導要領改訂でも目指されていました。しかし、話し合い活動やグループ活動などの「言語活動の充実」がある程度実現したくらいで、全体としての授業のあり方や教員の意識が変わることはありませんでした。なぜなら、小学校・中学校・高校は学習指導要領がありますが、大学版の学習指導要領はなく、小中高の取り組みの変化にもかかわらず、大学の教育内容が大きく変わることはなかったからです。

 実際、大学の入試問題は、共通一次の時代からセンター試験に至るまでも、二次試験に関しても問われる技能や内容はほとんど変わっていません。「文部科学省からは授業を変えろと言ってきている。でも、大学の入試は全く変わらない。どうしたものか…」と、現場の先生も悩みが尽きなかったと思います。
 ただ、そこで、大学の教育改革・入試制度の改革を高校の学習指導要領改訂と同時並行で行うことで、日本の教育システム全体を変えようとする動きが生じました。これが「高大接続改革」です。そのスケールの大きさもあって、「明治以来の大改革」とも言われています。

教育制度は様々に変化すれど……

 それでは、質・量ともに様々に変わってきた教育制度ですが、「学び手」として子どもたちに求められる学習も変わったのでしょうか。もちろん、内容面や技術面では情報化やグローバル化の流れを受けて変わるかもしれませんが、学習のあり方は変わっていない部分が多いようです。

 その一つとして、主体性をもった「自立的な学習」があげられるでしょう。どうしても大人の目線からすると「私たちの時代はもっと勉強していたのに…」・「なぜもっときちんと勉強しないの?」と言いたくなりますが、今の子どもたちは英語やプログラミングなど、学ぶことが広がる傾向にあります。そして、人間の心理として、「あまりに選択肢がありすぎるとむしろ選べなくなる」いわば無気力状態に陥りがちになります。ただ、この傾向は時代の進歩とともに常にもたらされるもので、「いろいろありすぎて何を勉強すればよいかわからない」という子どもの気持ちは、今も昔も変わらないものです。

だからこそ、様々な情報や課題、やるべきことがある中で、自分で優先順位をつけて自分からやり抜こうとする「自立的な学習」は、今も昔も変わらずに必要なものとなります。
 ほかにも「昔も今も変わらずに目指されている学習」はたくさんあります。しかし、実際に社会に出てみると、数学の平方根(√)はほぼ全く使いませんが、数学の学習を通じた「自分で優先順位をつけて自分からやり抜こうとする」力は仕事を進めるうえで非常に重要だと気づかされます。そうした社会人としての基礎を生徒・学生のうちに身につけ、「自立した社会人」となるためには、「自立的な学習」は必要不可欠な学習なのです。

「変動する教育とその対策」のその他のコラムを読む

お問い合わせ

ご相談、お問い合わせ
資料請求はお気軽にどうぞ!

お電話でのお申し込み・お問い合わせはこちら

メールでのお申し込み・お問い合わせはこちら

資料請求・お問い合わせ

「高校専門個別指導」で現役合格!九大パル 高校生はこちら

↑ページトップに戻る