福岡県から、令和9年度(2027年度)県立高校の入学定員が発表されました。
県立高校全日制の入学定員は、中等教育学校後期課程を含めて令和8年度の22,320名から
令和9年度は21,760名となり、県全体で560名・14学級の減少となります。
福岡県は、令和9年3月の中学校卒業見込者数を約47,200人と見込んでおり、
令和8年3月から約700人減少する見込みです。
そのため県全体で定員が減少すること自体は、それほど意外なことではありません。
しかし、第8学区を見ると少し気になる変更があります。
明善高校と小郡高校が、どちらも1学級・40名減となったことです。
第8学区の主な高校はどう変わる?
今回発表された定員を、令和8年度と比較してみましょう。
| 高校 | R8定員 | R9定員 | 増減 | R8最終倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 明善 | 320名 | 280名 | -40名 | 1.30倍 |
| 久留米 | 240名 | 240名 | 変更なし | 1.16倍 |
| 小郡 | 280名 | 240名 | -40名 | 1.07倍 |
| 三井 | 160名 | 160名 | 変更なし | 0.85倍 |
明善高校では普通科が240名から200名へ、小郡高校も同じく240名から200名へ減少します。
明善の総合文科コース・理数科、小郡のみらい創造コースは40名のままです。
令和8年度は明善320名、久留米240名、小郡280名、三井160名で合計1,000名でしたが、
令和9年度は920名。この4校だけで80名、8%の定員減となります。
中でも気になるのは、やはり第8学区の上位校である明善高校です。
明善高校の定員の推移
明善高校の最近の定員は、
R7:280名 → R8:320名 → R9:280名
と推移しています。
つまり、令和8年度に1学級増え、令和9年度に再び元の280名へ戻る形です。
ここで、令和7年度と令和8年度の志願状況も見てみましょう。
令和7年度は280名に対して最終志願者386名、倍率1.38倍。
令和8年度は320名に対して417名、倍率1.30倍でした。
つまり、
定員:280名 → 320名 約14.3%増
志願者:386名 → 417名 約8.0%増
です。
定員は14%ほど増えて、志願者も8%ほど増えた結果、
倍率が1.38倍から1.30倍へ少し下がったという動きがありました。
では、この31名の志願者増加も、
単に「その年の中学3年生が多かったから」と考えてよいのでしょうか。
中3生の人数と比べると、明善の志願者はそれ以上に増えている
福岡県の資料によると、中学校卒業者数は令和7年3月の約47,000人から、
令和8年3月には約47,900人へ増加しています。
増加率にすると約1.9%です。
さらに、第8学区を含む「筑後地区」で見ると、福岡県のグラフではおおむね
R7:約7,900人 → R8:約8,200人
となっており、約3.8%の増加です。
なお、県が公表している地域別データは第8学区単独ではなく、
第7~10学区を合わせた「筑後地区」です。
そのため、ここでは第8学区の受験人口を考えるための近似的な指標として使っています。
これを明善高校と比較すると、
| R7→R8 | 増加率 |
|---|---|
| 福岡県全体の中学卒業者数 | 約 +1.9% |
| 筑後地区の中学卒業者数 | 約 +3.8% |
| 明善高校の志願者数 | 約 +8.0% |
| 明善高校の定員 | +14.3% |
となります。
令和8年度に明善高校の志願者が増えたこと自体は、中3生が増えている以上、ある程度は順当です。
ただし、中卒者数の増加率よりも明善の志願者数の増加率の方がかなり大きいことには注目できます。
少なくとも、「受験生が増えたから、その分明善の志願者も増えた」というだけでは説明しきれません。
明善を選ぶ受験生の割合そのものも、前年より高かった可能性があります。
R9は中3生が減る以上に明善の定員が減る
では令和9年度はどうでしょうか。
福岡県全体では中学卒業者数が約47,900人から約47,200人へ減少する見込みで、減少率は約1.5%です。
筑後地区についても、県の推計グラフでは約8,200人から約7,900人へ、
約3~4%の減少が見込まれています。
受験生そのものが減るため、これだけを見れば倍率には下がる方向の力が働きます。
ところが明善高校の定員は、
320名 → 280名、12.5%減
です。
「普通科」だけなら、
240名 → 200名、約16.7%減
となります。
つまり、受験人口は3,4%しか減らない見込みであるのに対して、明善の募集枠は16%減ります。
例えば、明善の志願者数が筑後地区の中学卒業者数と同じ約3.7%だけ減る、と機械的に仮定すると、
417名 × 約96.3% ≒ 402名
となります。
定員280名なら単純倍率は約1.44倍です。
もちろんこれは倍率予想ではありません。
定員減を見て明善から他校へ志望変更する受験生もいるため、
実際の志願者数はもっと大きく動く可能性があります。
ただ、「中3生も減るから、40名減ってもそれほど変わらない」と考えるには、
今回の定員減の方が人口減よりかなり大きいという点は押さえておいた方がよさそうです。
実は過去にも「明善40名減」があった
そして調べてみると、今回と非常によく似た事例がありました。
平成31年度(2019年度)入試です。
この年、第8学区では、
- 明善高校 8学級 → 7学級
- 久留米高校 6学級 → 5学級
- 小郡高校 6学級 → 5学級
- 三井高校 5学級 → 4学級
と、主要4校がそれぞれ1学級ずつ削減されました。
久留米市教育委員会の資料にも、この学級削減の経緯が記録されています。
そのとき、普通科の倍率はどうなったのでしょうか。
明善高校は1.17倍 → 1.27倍
久留米高校は1.27倍 → 1.52倍
小郡高校は1.50倍 → 1.55倍
へ上昇しています。
一方、三井高校は0.85倍で変化しませんでした。
もちろん、当時と現在では中学生の人数や私立高校の状況、各校の人気、入試制度などが異なるため、そのまま令和9年度に当てはめることはできません。
それでも、定員減の影響がその高校だけにとどまらず、
同じ学区の複数校の倍率に表れる可能性があることを考える上では興味深い事例です。
今回は「明善から久留米へ」で終わらないかもしれない
例えば、明善高校が40名減ることで、
「明善は厳しくなりそうだから久留米へ」
と考える受験生が増えれば、定員が変わっていない久留米高校の志願者が増える可能性があります。
通常であれば、その次に小郡高校が受け皿の一つになります。
ところが、今回は小郡高校も40名減ですから、小郡高校は280名から240名へ約14.3%の減少です。
そのため令和9年度は、単純に「明善の倍率だけが上がる」というより、
明善の定員減をきっかけに、久留米・小郡などを含めて志願者の分布が変化する
可能性を考えておく必要があります。
平成31年度に明善・久留米・小郡の倍率がそろって上昇した例を考えても、
第8学区全体の動きを見ておくことが重要になりそうです。
今の段階で志望校を変える必要はありません
とはいえ、まだ令和9年度入試の志願倍率が決まったわけではありません。
定員が発表されたことで受験生側も動きます。
「明善が40名減るなら久留米へ」
「小郡も減るなら別の高校へ」
といった判断が積み重なれば、実際の倍率は大きく変わります。
また、令和7年度から令和8年度にかけても、筑後地区の中卒者数が増えた一方で、
久留米高校の最終志願者は292名から278名へ、小郡高校も303名から299名へ減っています。
受験人口の増減と各高校の志願者数は必ずしも同じ方向には動きません。
だからこそ、定員だけを見て必要以上に怖がる必要はありません。
ただし今回の明善・小郡の減員は、受験人口の減少率と比べても小さくない変更です。
令和9年度入試では、今後発表される進路希望調査や志願状況について、
明善だけではなく第8学区全体の動きを例年以上に注意して見ていく必要がありそうです。
筑紫修学館でも、今後の志願状況を確認しながら、生徒一人ひとりの学力と
その年の入試状況の両方を踏まえて進路指導を行っていきます。
倍率がどう動いても最後に必要になるのは、やはり合格できるだけの学力です。
令和9年度入試に向けて、今できる準備を一つずつ進めていきましょう。
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このブログはこんな人が書いています!
森 駿介
筑紫丘高校→九州大学理学部数学科卒業



























